札幌・大通公園の風物詩、トウモロコシ売りの「とうきびワゴン」を運営する社団法人の札幌観光協会は、民間の業者に販売業務を委託することを決めた。希望の業者から販売方法の提案を受け、委託先を決める。(12/16付 朝日新聞北海道版)
札幌観光協会による「とうきびワゴン」での販売は昭和42年からだ。露天商の屋台が増えすぎ、公園や道路を占拠するようになったため、札幌市が交通の確保と衛生面の問題を理由に昭和40年に屋台を排除した(オリンピック向けか)。しかし、市民の「街の風物詩をなくしてはならない」という声で、同協会が管理運営をするようになったという。
大通公園でのとうきび販売は明治後半から行われており、石川啄木の詩にも登場する歴史あるものだ。また、昭和61年からは、とうきび以外にも「じゃがいも」、62年からはラムネ・かき氷・アイスクリーム等の販売も行い今日に至っている。
管理人は今でも冷凍ではないナマが出る時期には大通公園のベンチに座り、かぶり付いている。地元の方はあまり食べることはないであろうが、北海道・札幌へ来たことを実感させてくれる、まさに風物詩である。
そのとうきびワゴンが赤字だという。確かに以前よりは食べている人が少ない気がする。ワゴンの数も減ったのではないか。
不振の理由を挙げるとすれは、マンネリであろうか。一般の観光客は一度食べれば十分であろう。また、トウキビ以外のメニューにあまり魅力を感じない。少しずつ新しいアイテムは増えているが、いまひとつといったところだ。売られている商品がどのワゴンでも殆ど変わず、どこへ行っても同じものが買える安心感はあるが十年一日のごとくの感は拭えない。
来年から民間へ業務委託をするというが、40数年に亘り、観光協会が事業を独占してきた訳だ。利権も絡んでいたであろうし、それで儲けた人もいるかもしれないが、これだけ同じことを長くやっていれば硬直化して来る。長すぎた独占販売のツケがまわって来たのかもしれない。
民間委託により新しいアイデアはいろいろ出るであろうが、管理人はたとえば出店ブロックごとにメニューを変える・移動販売を増やす(現在でも可能だが)・今の小型ワゴン以外にも簡単な調理ができる「屋台」の導入など画一化された今のシステムからの脱皮が必要であると思う。
また、現在、お腹に溜まるものはとうきびとじゃがいもだけだが、たとえばミニジンギスカンなどメニューも増やし、地ビールなどのアルコール販売もあっていいと思う。大通周辺はコンビニが増えたが、コンビニで販売をしていないものを揃えて差別化を図ることも重要だ。
個人的には修学旅行生や若い女性をターゲットに、意外と美味しいところが少ないソフトクリームなどのスィーツ屋台があってもいいかと思う。公園ではワゴンのアイスではなく、花畑牧場のソフトを食べている観光客の方が目立つ。
別の問題として、大通公園の変容もあると思う。かつては公園でのイベントが限られていたが、今では年中、その準備に追われており、落ち着かない環境となっている。また、イベントではフードフェスタなど食関連も多く、とうきびワゴンから見れば競合とも云える。
公園を市民や観光客の憩いの場とするのか、お祭り広場にするのかでも違ってくる。公園の全体像そのものを考える必要もある。
是非、観光客だけではなく、地元にも愛されるものに生まれ変わってほしい。
余談だが、観光協会は来年から主催の「ミスさっぽろ」の廃止も決定した。こちらも遅きに逸した感がある。
■ワゴンで現在販売をしているメニュー
トウキビ(やき・ゆで) 1本300円
黒もちきび (ゆで) 1本300円
じゃがいも 1皿250円
とうきび・じゃがいもセット 300円
ラムネ、お茶、ジュース 150円
かき氷 200円
アイスクリーム 250円
さっぽろの水 100円
サッポロミルクスィーツ 1個350円
アイスキャンデー 150円
とうきびペーパー(ポストカード)3枚1セット 120円
札幌に住んでいますが、大通公園の焼きトウキビは、10年以上前に一度食べたきりです。
風物詩ではありますが、ファストフードやコンビニなど小腹を満たす選択肢が多い現在、実用品としては役目を終えているんでしょうね。観光客の立場で考えても、地元の人が普段食べてないものであれば、旅先でわざわざ買わないでしょう。
いろいろと考えてみると、やはり、公的組織が運営するが故の、融通の利かなさってのが大きいのでは。
1本300円では、高いし多いです。それに、冷凍モノを出さざる得ない時期にやらず、生を出せるようになってから開ける方が、季節感を出せるでしょう。
豊作の時期は1本150円になったり、半分サイズや小さいのは100円で出す、など価格弾力性があってもいいでしょうし(不明朗会計でボッタクリになることは防がねばいけませんが)。
現状では、屋台ごとの個性を出すのも難しそう。店ごとに焼き方の工夫があって、どこが美味いか地元民が議論するくらいの方が面白そうです。
商材の拡充も活性化の一案ではありますが、日ごろ大通公園を行き来する目で見ると、今の公園内は一年通して何かしらのイベントや、その準備・撤収がなされていることが多く、本来の憩いの場になりにくい雰囲気があります。
今回の件をきっかけに、公園の全体像も見直し、物販を行うエリアを考えることも必要かと思います。
地球ネコさん、コメントありがとうございます。
ワゴンが始まった当時は大通公園でのイベントはそれほどなかったはずですが、今では慌しくて年中開催しており食関係も目立ちます。おっしゃる通り、公園全体像の見直しから入る必要もあるかもしれません。
本来は市民や観光客のオアシスであったはずですが変質してきました。大通公園を憩いの場にするか、お祭り広場にするかでも扱いが違ってきますね。
トウキビに関しては生が出るのは7月下旬からです。それまでの二ヵ月半は冷凍になり、ちゃんと表示もされていますが、何かアイデアが欲しいところ。
半分サイズのトウキビはじゃがいもとセットとなって売られています。これはビールが合いますね。
大通公園のイベントで、食関係のものは、市民からも評判が良いですね。マルシェをやってると、農家の直売野菜など、思わず買ってしまいます。
モノがあふれる札幌だからなれば、作り手の思いが直に伝わってくるモノを買いたい・食べたい、という思いがあります。(残念ながら、現状のトウキビ屋台から伝わってこない部分でもあります)
「スィーツ屋台」のご提案で言えば、例えば、農業団体が参画した地場食材のジェラート屋さんなどがあれば、6次産業化という点からも面白そうですね。
地球ネコさん、コメントありがとうございます。
大通公園は食関連のイベントが増えましたが、そこへ出店している食べ物とトウキビを較べたらそりゃ勝ち目がありません。
新進気鋭のご当地グルメと片や50年近く代わり映えしない焼きトウキビ。しかし、トウキビは「定番」で、札幌観光の風物詩なので売り方や出し方に工夫して今後も”大通公園の顔”でいてもらいたいですね。
「スィーツ屋台」は屋台ごとに道内の異なる地場ジェラート屋が出店するなどしたら管理人も面白いと思います。札幌だけでも結構の数になりますよ。