環境省は10日、中央環境審議会野生生物部会でラムサール条約の新規登録候補地として、七飯町の大沼など、国内9カ所を報告した。道内では釧路湿原など12カ所の登録湿地があるが、道南では初めて。6月の官報告示で国内候補地として正式に指定し、7月にルーマニアのブカレストで開かれる第11回締約国会議(COP11)で登録される。(5/11付 函館新聞/eHAKO)
大沼は北海道観光が黎明期であった昭和初期から観光地の体裁を整えていた。当時は函館が北海道の玄関口であり、大沼は道央方面への通過ポイントであったので、早くから1級の景勝地として評価を受け、賑わっていた。十和田湖と大沼をセットで周遊する時代が1980年頃まで続いた。
しかしながら航空路の発達で函館が玄関口としての機能を失い始めた頃から大沼観光に翳りが見え始めた。函館市内に設備が整った大型ホテルが増えたこともあり、観光客は市内に宿泊。もともと大沼には宿泊施設が多くなかったが、閉鎖が相次ぎ、通過型の観光地になってしまった。今は日中は観光バスで賑わっているが、それが居なくなると町は閑散とし、オフシーズン期の大沼は寂しい。
ところで今回のラムサール登録が観光客増に結びつくとは考えにくい。道内ではけっこうの数の湖沼や湿地帯が登録されているが、それによって観光客が増えたという話はあまり聞かない。しいて言えば、1993年にラムサール会議を開催した釧路湿原がメジャーになったぐらいであろうか。
しかしながら、ラムサールに登録されるような場所は野鳥の数が多く、道内の登録地の多くは風光明媚である。のんびり滞在するには最適な場所と云える。
大沼活性のカギは通過型から滞在型へシフトをすることであると管理人は考えている。滞在型観光が叫ばれて久しいが、どこも定着に至らず、このテーマは頭を悩ましているが、大沼は滞在に適している環境だ。
実は以前から大沼は首都圏などからの長期滞在客が多い場所なのだ。管理人は大沼公園のホーム前にあるJR系のホテル「クロフォードイン大沼」がお気に入りだが、あそこへ泊まると中高年層を中心に、連泊・滞在客が多い。また、「大沼プリンスホテル」も長期滞在客がけっこういると別の道内プリンスホテルの支配人から聞いたことがある。
滞在型観光地としての需要があり、既に実績もある。大沼の印象は信州などのリゾート地などに近く、景観もやさしいと思う。別荘地としての歴史も長く、別荘の滞在客がホテルへ夕食を取りに来るが、道内ではあまり見ない例である。
また、大沼の隣り、鹿部町には大和ハウスの別荘地とホテルがあるが、移住者の他に季節滞在者も多く、独自のコミュニティが成立している。
こう考えると大沼は長期滞在のポテンシャルが非常に高いのエリアだ。函館から近く、全国的な知名度も高い。
大沼観光再興へは量を呼び込むのではなく、質を重視することにあるのではないか。団体バスが立ち寄っても落ちる金が知れている。それよりも宿泊客、それも滞在客を増やすことが再興へのポイントであると思う。大沼は自然滞在型リゾートを目指すべきだ。
これまでその部分でのPRがなかったと思う。観光協会や七飯町は滞在型観光地としての大沼を訴えるべきである。
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