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北海道は若者の旅誘致を、「旅離れ」の今だからこそ

6月1日より北海道は本格的な観光シーズンに突入した。
今年は道とJRなどが「花たび北海道」を開催するため、例年になく露出が目立つ。「花たび」(6/~/31)はタイトルの通り、花がもっとも美しい季節に来道してもらおうというものだが、イベントは開花のピークを迎える夏休み前に集中しており、ターゲットとしては時間的余裕があるシニア層に来てもらおうとする狙いが伺える。当然、話題の団塊移住や滞在型観光などどもリンクしている。
それはそれで重要なターゲットであるが、最近忘れられているのが若者向けの北海道観光プロモーションである。以前は北海道観光と若年層は密接な関係にあった。
「ディスカバー・ジャパン」全盛の70年代、大きなリュックを担いだカニ族が夏ともなれば周遊券を片手に大挙押しかけ長期間、道内に滞在をした。その後、カニ族はバックパッカーと名前が変わったが、バイクで道内を移動するミツバチ族やチャリンコ族なども加わり、続々と道内へ若者が集結した。
ところがこの数年異変が起きている。北海道を訪れる若者の数がかなりの割合で減ってきているのだ。夏休みでも鉄道利用は減っており、ミツバチ族もあまり見かけなくなった。そのため「ライダーの宿」も廃業したところが多い。ライダーたちも高齢化している。全盛を極めた本州からのスキーツアーも90年代後半から若者の参加が激減している。
道内を訪れる若者が減った理由として考えられるのは、少子化問題もあるが、それ以上に「旅離れ」に原因があると思う。
日本観光協会による調査「平成16年度版 観光の実態と志向」によると、1年間のうち1泊以上の宿泊観光旅行に行った回数は、全体平均が1.21回であるのに対し、15~17歳は0.77回、18~19歳は0.68回となっている。
ここ数年の観光旅行の傾向について、世代別では男女共に60代のシニアによる旅行が増えており、続いて男女別では30代女子、40代男子が旅行に出る傾向が強い。
シニア層を除けば、若い頃によく旅行をした主婦層やサラリーマンなどバブル期に青春時代を過した世代が多いのではないか。
一方、十代は、10年前の調査結果を見ると、1年間のうち1泊以上の宿泊観光旅行に行った回数は18~19歳男子で1.0回、女子で1.5回であったことから、現代の十代は明らかに旅をしなくなってきている傾向が伺える。以前に比べて旅をしなくなった今の十代は、余暇に何をして過ごしているのであろうか。
当然ながら考えられるものとして、PCや携帯などインドア志向が高まり、レジャーに行かなくなったこと。また、不況により、小遣いやバイト代が減少し、旅行へ振り分けることができないことや親の収入減により、家族旅行の機会が減ったことなどが想像できる。社会全般の傾向として休みを取りにくい環境になっているなど複合的原因が考えられる。
調査結果によると若者の旅のニーズで18~19才の女子の27%が温泉旅行を第一位に挙げている。旅のスタイルがお気軽・癒し型に変わってきていることが若年層でも伺える。
費用がかかり、日数が必要な北海道旅行に掛ける余裕がないことや海外旅行へ取られていることが、若年層の北海道離れにつながっていると思われるが、このままでは30年以上続いている北海道ファン&リピータづくりの流れが途絶えてしまう危険がある。
若者→お金を落とさない→観光産業としては旨味がない-それは事実である。しかし、それは一時的なことであり、彼らが社会人になれば変わる。未だに北海道観光には一見的さん的発想が伺える。
また、交通事業者や旅行代理店の都合で旅が現在は旅がしにくくなっている。
JRの周遊券が廃止され、代わりに「周遊きっぷ」が出来たが、有効日数は半分程度になり、発券の仕組みが複雑なため鉄道ファン以外は購入しなくなっている。
さらに、JRの学割制度やスカイメートも各種割引運賃の登場により、昔ほどの威力がなくなっている。「青春18きっぷ」で行くにはあまりにもロスが多い。
特急も乗れる「ユーレイルユースパス」のような実用的な割安チケットや旅行商品をつくる必要がある。
道内のユースホステルの数は半減し、前述してようなライダーの宿や民宿も減っているのが実情だ。
最近、沖縄で安宿が急増しており、10代、20代の若者が集まってきているという情報がある。急増中の安宿というのは平均1泊1,500円ほどで、個人で部屋を改装し、2段ベッドを設置しただけの簡易的なドミトリー形式らしい。
安宿はユースホステルよりも安く、沖縄本島や宮古島、石垣島などの都市部に集中しており、ここ2,3年の間に何十軒も出現しているのだそうだ。若者が旅をしやすい環境づくりが絶対に必要である。
北海道の宿泊先でも割引制度や簡易宿泊施設による受入れ強化のような仕組みをつくれないであろうか。あと何回来れるかわからないシニア層よりも顧客として無限の可能性がある若者若年層を取り込んだ方が将来は明るいと思うが・・・
数年後、北海道から若者がいなくなり、礼文島のユースホステルには40年前に訪れたホステラー同士でふたたび肩を並べ、語り合い、”シニアホステル”になっているということも冗談ではない。
北海道を旅したい若者は多いはず。今のうちに効果的な誘客施策を検討するべきである。

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