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関越道のツアー高速バス惨事「あづみの観光バス事故」の教訓が活かされていたか

 Harbest tour 無題

大型連休の関越道でツアー高速バスの大惨事が起きた。

このツアーバスは、「ハーヴェストホールディングス」が主催、同社は「ハーヴェストツアー」の名称でツアーバスを運行している。本社は大阪であるが、HPで路線を見ると首都圏発着が多い。チケット予約はインターネットのみであり、利用者は若い女性が中心であったようだ。玉石混交のツアー高速バス業界に於いて同社は中堅、管理人も聞いたことがあるというレベルの会社である。

事故を起こしたと思われるバスを同社HPで検索をしたが、加賀温泉を20:10に出発、途中小松、金沢、高岡、富山で客を拾い、新宿に6:20頃、TDRには7:40頃到着とある(報道などによると金沢を22:10発。増便なので客がいる金沢始発となったか)。チケットも完売しており、28日発は大型連休のため増車を行っており、ハーヴェストでは増便分を針生エキスプレスに委託していたという。なので事故車両はハーヴェストカラーではなく、車体に「Haryiu Express」と書かれていた。

今回の事故は2007年に発生した「あずみの観光バス事故」と類似点が多い。

あづみ野との類似点として、、①居眠りが原因により早朝の時間帯に発生している事故である②長距離の夜行バスにも関わらず一人乗務である③旅行会社主催によるツアーバスである(あずみのはスキーバス)、④バスを数台しか保有しない零細貸切事業者であることなどが現時点で挙げられる。

バスは27日夜に会社のある千葉県を出発し、28日朝に金沢市に到着。同日夜に再び千葉県に向かっているというが、それだとすると二日連続の夜行運転である。あずみの事故以降、国の安全指針で670キロ以上走行する場合、運転手を2人付けることになっているが今回はその基準に該当しなかったため、一人での運転になったらしい。しかし、乗合免許の高速バスでは夜行の場合、2人乗務は常識である。特に金沢便で一人というのは乗合高速バスでは聞いたことがなく、かなりの過重労働であったのではないか。

最近、ツアー高速バスの最大手、ウィラートラベルでは運行するバスをすべて自社保有に切り換えているが、多くのツアーバス業者は聞いたことがないような貸切バス事業者のバスを使用している。特に繁忙期になると普段、使っていないような貸切業者を使うので安全性への不安が高まる。

今後、事実が明らかになるであろうが、零細貸切事業者の過酷な労働体制や旅行会社との関係、ツアー高速バスバス全体の実態から路線乗合も含めて高速バスそのものの安全管理体制が問われそうである。

現在、高速バス業界では、乗合とツアーバスの垣根をなくすべく「新高速バス」の議論がなされているところである。非常に悪いタイミングでの事故発生であるが、明らかになったのは、ツアー高速バスの安全性である。ツアー事業者の中には使用バスの貸切事業者名を明記しているところもあるが、利用者の多くはそのシステムを知らない。これだけ高速バスが市民権を得たのだから、これを契機に両者の違いや問題点などを徹底的にマスコミでも報じてもらいたいと思う。

最近、貸切バスの安全評価認定が行われているが、星を貰っている多くの事業者は大手の貸切事業者と乗合路線バス事業者の貸切部門である。認定には手間や費用もかかるので零細事業者が取得できる環境ではない。

本来であれば、認定された貸切事業者しかツアー高速バスを運行出来ないとかツアーバスに限定した評価基準を設けるぐらいのハードルがあってもよいが、ツアー高速バスは「募集型企画旅行」であり、旅行会社がすべて取り仕切り、バス事業者は下請けに過ぎないという構図がある。この仕組みが続く限り、ふたたび惨事が起きてしまうかもしれない。

「あづみの」に続き、ふたたび起きてしまった不幸、繰り返してはならない。国や業界はツアーバスに対し、抜本的な策を打つべきである。

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