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弟子屈の”メンタルヘルス”を目的としたヘルス・ツーリズムへの期待

dojo 写真は淡路島「五色県民健康村健康道場」

少し前の道新と釧路新聞に道東の弟子屈町が町内の温泉を精神的ケアに活用するヘルス・ツーリズムの開発、集客に乗り出すという記事が出ていた。職場のストレスや過労による心の病の増加が社会問題になる中、首都圏の企業・団体などの利用を見込み、長期滞在観光客の集客を目指すということだが、なかなか面白いプロジェクトであると思った。

ヘルス・ツーリズムという言葉はこの数年、よく聞かれるようになったが、実際は外国人(おもにアジア系富裕層)向けの検診(人間ドック)ツアーや、花粉症対策の"疎開ツアー”など限られたものが中心であった。最近ではタニタが企画する健康食と運動体験のツアーが話題になったが、ヘルス・ツーリズムの意味合いが狭義なものとして解釈されているのが気になっていた。

日本には温泉湯治という古くからのヘルス・ツーリズムが存在するが、その習慣は廃れている。最近では"プチ湯治”などと言って温泉旅館の活性化対策として旅行会社が商品化しているが、本来の湯治とは異なるお気軽レジャーの延長線に過ぎないようである。

管理人は本来のヘルス・ツーリズムとは、一定の場所でのんびり滞在することが目的であり、その手段として各種療法や検診、体験などが存在するものだと思う。なので2泊3日の健康ツアーはヘルス・ツーリズムの領域ではないと思うが。

弟子屈町の取り組みであるが、町内の旅行会社「ツーリズムてしかが」や医療機関、福祉団体と連携し、医師による体調管理と、温泉療法、自然散策などを組み合わせて旅行プランを作成するという。また、町内屈斜路湖畔に温泉熱を利用した農業ハウスを建設し、通年で野菜作りを体験できるようにするなど具体的である。 また、対象を「メンタル」に絞っているところに特徴がある。

 

「心の病」に関していうと、2012年度のうつ病などによる労災認定は475人と前年度の約1.5倍に達している。一見、少なく感じるかもしれないが、脳・心臓疾患による労災認定の338人なのでそれより遥かに多い。「心の病」への理解が深まり、認定基準が明確化され、スピードアップされたことが大きいが今後も増え続けるであろう。また、自殺者数は3万人は切ったとはいえ世界的に見て人口比では突出した数字である。

「心の病」に対し、医療機関での治療以外に新たなソリューションとケアが求められるが、弟子屈の事例は具体的で可能性があると思われる。

こう書くとシリアスになってしまうが、心身共に疲れて、北海道へ旅行をしたことがきっかけで回復したという話はいくらでもある。場所が癒してくれる。ヘルス・ツーリズムは実はシンプルなものだと思う。その中で具体的なケアを提供できる場所があってもいいはずである。

 

少しケースは違うが、淡路島の五色町(現在は洲本市五色町)に町営の断食施設「五色県民健康村健康道場」がある。ここは町と兵庫県が1982年に開設した国内唯一の公営断食施設である。断食というと宗教的、いかがわしいと思う方もいるかもしれないが、医学的断食療法、低カロリー療法、丹田呼吸法、性格分析などで行い、生活習慣病やうつ状態の改善、過労死、突然死の防止、がん予防に効果を上げていると聞く。風光明媚な環境の中、リラックスして過ごせるようである。管理人はこの施設の館長であった医師の著書を読んだが、いつか行ってみたいと思っている。

断食もヘルス(メンタル)・ツーリズムのひとつの手段であると思うが、その概念すらない30年以上前から取組んでいる町があったので紹介させていただいた。弟子屈町には継続できる内容を期待したい。ヘルス・ツーリズムはレジャーの一環ではあるが、ファッションにはしてもらいたくない。

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