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道民の北海道旅行から垣間見えてくるものとは 住居より北× 南○

リクルート北海道じゃらん(札幌市)は2013年度の道内旅行に関する調査結果を発表した。道民を対象に9月まで過去1年間の旅行先を聞いたところ(複数回答)、1位は10年連続で札幌だが、割合は32%と前年度に比べ12ポイント低下した。富良野や帯広などが順位を上げ、旅行先が札幌圏から地方に分散している現状が浮き彫りとなった。(3/6付 日経

道内人気観光地調査」は北海道じゃらんが実施した道民向けの道内旅行に関する調査だ。北海道旅行というと国内道外客や外国人からの視点で行きがちであるが、国交省のデータ(北海道観光の基礎データ)でも道内旅行の90%は道民であるということを忘れてはならず北海道観光を考える上で興味深い資料だ。

道民の旅行は国交省データで約70%が日帰りという。日帰りを「旅行」と位置づけるかは難しいところだが、道民の旅行の特徴として、まず自家用車利用の高さがある。約70%がマイカー利用だが、道外客はレンタカーを併せても30%程度である。鉄道利用が道内客は2割に達していないのに対し、道外客は3割を超えており、やはりであるが、クルマでの移動が主流である。

国交省のこの数字を裏付けるように、じゃらんの調査によれば、昨年度、帯広、阿寒湖、知床、釧路がランクを上げており、これは2012年10月の道東道開通の影響が大きいと思われる。これまで道東方面は札幌圏の住民からみると遠い場所であったはずだが、高速道路がきっかけを作り、十勝・道東を少し身近にしたようだ。

 

管理人が思うに、道民の意識としてわざわざ自分らが住んでいる場所より寒い所には行きたくない-そんな潜在イメージが隠れているのではないかと思う。知る限り、札幌圏や道南に住んでいる知人で住まいよりも北や東方面へプライベートで出かたという人はあまり聞かない。以前の管理人は春夏秋冬、道東に旅をしていた時代があるが、一般的な道民からみれば「奇特な人」のようである。流氷やタンチョウを一度も見たことがないという人が多いので驚いたが、今思えば当然かもしれない。多くの道民は「南志向」であり、北へは旅立たない。

しかし、美瑛などは道民客も増えている。道外客が中心で、道民はそれほど多くなかった場所だが、マス・ツーリズムに一度乗った観光地は「北」であろうと関係ないようだ。ドラマの影響もあるが、道民の富良野好きが多いのにも驚いてしまう。しかし、ラベンダーの咲く暖かい時期への一極集中の傾向が道外客より強い印象があり、ここでも寒いことを拒む「南志向」をかんじる。

じゃらんの調査で「今後行ってみたい道内旅行先(あこがれの地)」は、1位から5位までを離島が占めている(1位礼文、以下、利尻・奥尻・天売・焼尻)。このデータは14年連続変わらないらしいが、知床・稚内・釧路湿原が上位10に入っており、これらの地が遠い秘境という印象なのであろう。管理人は札幌圏の住民も首都圏の住民も道東や道北に対する距離感はあまり変わらないのではないかと思っている。道外客よりも早く、安く行けるにも関わらず、一度フィルターが入っているかもしれない。

「これまで行った観光地」や「もう一度行きたい観光地」では、函館が1位を占めている。やはり、函館は強い。道民は「南志向」であり、札幌圏から1泊2日旅行ではちょうどよい距離である。マチ散策や名所旧跡、温泉などがセットになっており、歴史が浅い道内では数少ない本州型の観光地といえる。余談だが、管理人は函館は北海道であって、北海道ではない場所だと思っているが。。。

資料を見ていると道民の旅行傾向は保守的であり、道外から先に火が付いた場所に後追いするような傾向も見られる。しかし、これは多かれ少なかれ全国どこにでもある傾向である。旅行素材に関していうと、北海道は宝の山だが、素材が多過ぎ、灯台元暮らしになっているのが残念である。

北海道観光の発展には観光客の90%を占める道内客の活用が重要である。これまで道内客は地域的な偏りがあったが、高速道網の発達や情報ツールの活用などにより、全道どこにでもチャンスがあるはずである。これまで、食わず嫌いの傾向があった道民の道内旅行であるが、是非、各地へ出かけてもらいたいと思うし、自主性のある旅にも期待したいところだ。

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