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観光客が来ない知床 その背景には何が

オホーツク管内斜里町の2014年度観光客総入り込み数が、前年度比6・4%減の約114万2600人と、過去30年間で2番目に少なかったことが知床斜里町観光協会のまとめで分かった。(5/9付 道新

知床に観光客が来ない。30年ぶりの低水準とは意外な結果であるが、道東の観光地は阿寒湖なども含め全般的に苦戦をしている。知床は2005年に世界自然遺産に登録されたが、当時から管理人はその効果に懐疑的であった。2007年8月の拙稿、『入込み数が激減の知床、世界遺産登録の意味は』から一部抜粋して紹介する。

[斜里町の今年1月から6月の入込み数は、約41万人で昨年同期より16%減少、羅臼町も4月から6月の入込みは、前年比2%減の13万5千人と共に苦戦をしているが、知床の観光客数減少の理由について考えてみた。①知床は世界遺産登録前からメジャーな観光地であり、40年近い観光地としての歴史がある。登録前に既に行った人も多く、成熟型の観光地ともいえる。 ②環境保護政策のため、立ち入りに制約が多い。一般で入場できるところが限れており、マンネリ化している。 ③体験型観光といっても上記②のような理由でワンパターンであり、物見遊山型の観光から抜け出していない。 ④魅力的な宿が少ない。大型ホテルが多く(特にウトロ)、リピーターが育ちにくい環境がある。]

8年前の記事であるが、当時の問題点が解決されず、ズルズルと来てしまった印象を受ける。②の立ち入り制約については改善がみられるが、それだけでは集客につながっていない。インバウンド効果も限定的であり、長期退潮傾向に陥ってしまったようにみえる。斜里町(ウトロなど)に較べて個人客が多い羅臼町でも同様な傾向であり、観光客の減少は深刻である。

知床観光不振の原因は複合的である。2007年に指摘した上記①-④の知床本体が持つ課題以外にも主力であった道外からのバスパックツアーが貸切バスの新運賃制度による値上げや車両&運転手不足によるツアー数の減少なども痛手となっている。また、今冬は荒天による通行止めが何度も起きたが、わざわざどん詰まりまで行って、また引き返さなくてはならないという半島特有の地理的ハンディもある。阿寒湖の不振などを含め、道東観光全体が持つ弱点が出てしまっているように思えるが、根本にあるのはツアー客依存(道外客と訪日客)から脱却できず、団体が減った分を個人客でフォローできていない点が大きい。札幌から遠いのはハンディであるが、道東各地に空港はあり、「千歳から遠い説」は言い訳に聞えてしまう面もある。

2004年に拙サイトを開設した時の趣旨が「北海道が団体依存の物見遊山観光から脱却し、個人客とリピーターを増やす」ことであったが、残念ながら知床の場合、ウトロの宿は大箱が多く、ツアー客主体の観光スタイルから脱却できていないようである。テレビCMを流している宿や宿泊予約サイトでの口コミ点数が高い宿もあり、ウトロ以外にも斜里駅周辺や羅臼町にも魅力的な宿も存在するが、収容人員でいえば限られてしまう。国内と個人客リピーター、新規インバウンドをいかに生み出すことができるかにかかっているが、環境が見えてこない。

ウトロの豪華なホテル群や何十台と停まる知床五胡の大型バス駐車場など周囲の景観との間に違和感があることを地元の関係者は気付いているであろうか?このあたりが阿寒も含め道東観光を根本から考え直すポイントかと管理人は思うがいかがであろうか。

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