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外湯・客舎文化の伝統が残る温泉街 青森・温湯温泉「飯塚旅館」

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最近では殆ど姿を消した外湯に通い療養滞在する温泉文化。宿には内湯がない。かつて城崎もそうであったが、客の要望には勝てず、湧出量は少ないなか、各旅館に引湯されている。現在、辛うじて外湯文化が残っているのは、山口県の俵山温泉と今回紹介する青森県・黒石市の温湯温泉ぐらいではないであろうか。
黒石市の郊外には、板留・落合・温湯の3湯が温泉郷を形成しているが、相当に鄙び具合が進んでいる。3ヶ所の中ではいちばん大きい温湯温泉には、古い木造宿が並んでおり、ライフワークにしている古温泉宿探訪のひとつてして訪れた。
温湯温泉の宿には、「客舎」と看板が出たものが多い。客舎とは湯治を中心に長期滞在する宿のことで、内湯がない。多分、青森の温泉独特の言い方だと思うが、現在ではこの温湯のほか、大鰐温泉に僅かに残っている程度である。
今回、お世話になった飯塚旅館は、「客舎」ではなく、内湯がある”温泉旅館”ある。宿の前に立派な公衆浴場があるが、3,4年前に立て替えられたのを契機に、内湯を増設したという。檜風呂にビバづくりの高い天井、目の前には川が流れ、なかなか快適だ。
大正初年に建てられた木造建築の旅館だが、古いながらも清掃は行き届いている。客室にある鶴の額絵と壷はかなり年季が入っている。女将さんが挨拶に来るなり、「家は座敷わらじが出るんですよ」と言い出した。管理人は他人事のようにホォーと笑ったが、いきなり何を言うんだと思い、不安になってきた。座敷わらじは南部地方の伝説、ここは津軽だから存在しないと言い聞かせた。女将は「お客さんは見るというのですが、うちら家族は誰一人見たことがありませんと」言った。
夕食、朝食ともに部屋食。食事をする部屋と寝る部屋は異なる。夕食の構成は前日宿泊した碇ヶ関温泉の「あいのり」と似ているが、飯塚旅館の方が3千円安い。
当日、飯塚旅館には宿泊ゼロ。温湯温泉街全体を見ても客らしきものを見なかった。実は、公衆浴場が立て替えられる前は半地下自然湧出の鄙びた浴場であったらしいが、消防法にひっかかるということで近代的な公衆浴場に生まれ変わった。これを契機に旅館(客舎)の泊り客が減り、日帰りが増えたため、飯塚旅館では、個人てはかなりの巨費を投じて内湯をつくったという。
源泉は共同管理されており、夫々に配湯されているが、総湧出量約毎分500リットルのうち、300リットルが公衆浴場に行っており、各旅館には40リットル程度しか配湯されていない。
これまでも、立派な公衆浴場や公共温泉を作ったおかげで、旅館の宿泊客、日帰り客が減り、死活問題となっている話をよく聞かされている。行政側は、地域住民のニーズや安全面や衛生面を考慮してというが、豪華な公衆浴場は、温泉街自らの首を絞め、風情を壊していることを自覚すべきだ。
温湯温泉の近くには、ランプの宿の青荷温泉や秘湯の会の温川温泉、八甲田の酸ヶ湯、谷地温泉など人気の”秘湯のやど”が目白押しの地域だ。利用者のニーズが変わり、マチに近い温泉街はどこも苦戦している。懐かしい湯の町が好きな方なら温湯のような温泉地を訪ねてほしい。
5月23日宿泊 1泊2食付 8,000円
【参考】温湯温泉 飯塚旅館のHP
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