高齢化や人口減少に伴い「共同体の維持が困難」と判断された集落が道内に126か所あることが27日、道の調査で分かった。うち7割が20人未満となっている。道では有識者らで作る「集落対策促進会議」で来秋をメドに対策を検討する。(12/28付 読売新聞)
今年最後のブログのテーマとしては深刻だが、日本の将来が懸かった問題だ。
現在、道には3772の集落が存在し、その中で冠婚葬祭など扶助機能や集会所の維持といった「機能が低下した」と判断されたのが584集落、「維持が困難」とされたのが126集落ある。維持困難の126集落のうち、住民が20人未満では7割、50人未満だと9割以上になるという。
この維持が困難な126集落がよくいう「限界集落」であろうが、今後は「集落」ではなく、行政機能がある中心部でさえも生活維持が困難な市町村が出てくるであろう。
今年2月の拙ブログで、2050年度には道内で人が住んでいる場所の5割が無人化するという記事を書いた。もしそうなれば、町が消え、鉄道やバス路線の廃止も進み、100年以上前の北海道地図に戻ってしまうであろう。北海道新幹線と札幌近郊・道央圏以外は鉄道が走っていないという状況も考えられる。
空路も危ない。新千歳への一極集中が進み、本州からの地方空港便は観光需要がある一部を除き、廃止されるかもしれない。道内の移動公共交通は新幹線と新千歳からのLCCによるローカル路線、それと都市間バスだけになってもおかしくない。地方では北関東のように路線バスそのものが町から消えるであろう。
新幹線や高速道路網が伸びれば、通過点はさびれて行く。利便性が高まるほど一極集中が進み、都市と地方の共存共栄などあり得ない二律背反の世界だ。
「限界集落」をこれ以上つくらないためには、月並みだが命綱である公共交通の確保と利用促進に懸かる割合は大きい。鉄路が消えた町がその後どうなったか、道内各地を見れば一目瞭然である。
集落が維持できれば町の機能も保てる可能性が高い。サテライト網の維持が生命線であり、路線バスや鉄路の廃止も免れる。現実的には厳しい問題だが、生き残りへ動かなければ廃れるのは時間の問題だ。
来年も拙サイトでは公共交通の重要性やその価値など訴えて行きたいと思う。
皆さん、よいお年を。
毎回興味深く拝読しております。
個人的に、集落を広げきった夕張市が、人口急減と厳しい財政制約、そして道東
道延伸で、これからどのような街づくりをしていくか注目してます(ちなみに母の
出生地です)。市はコンパクト化を指向しているようですが、夕張のいまは、遠く
ない将来の北海道各地の姿と思います。
それから、中標津や苫小牧などを見ると、鉄道の存廃が街の盛衰を左右するとは
言えないと常日頃感じています。
はじめに鉄道やバスありきではなく、その街や地域で暮らして(稼いで)いくた
めに、どのような交通が必要かという視点が欠かせないのではないでしょうか。
来年も楽しみに拝読したいと存じます。どうかよいお年をお迎えください。
旅する日々さん、コメントありがとうございます。
夕張は特殊な事例ではなく、北海道(日本の地方)の縮図であり、今後の動向は大変注目です。新しいモデルケースが出来ることを願っていますが。
中標津と苫小牧に関しては、私見ですが住民の職住距離、年齢分布や所得など複合的な要素があるような気がします。
確かに鉄道やバスありきではなく、住民の需要、デマンドが重要です。最近、過疎地の公共交通で成果を出しているところを見るとそこを改善し、利用し易いものにしていますね。
旅する日々さん、いつも訪問していただき有難うございました。拙サイトは来年から9年目に突入しますがよろしくお願い致します。