【歌登の奇跡】タイ人が大挙やってくる「うたのぼりグリーンパークホテル」に観光無印市町村に可能性を示した

【歌登の奇跡】タイ人が大挙やってくる「うたのぼりグリーンパークホテル」に観光無印市町村に可能性を示した

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一ヶ月以上、ブログ更新が滞ってしまった。facebookの「北杜の窓」を開設してから比重がそちらへ行ってしまっているが、管理人に限らずフェイスブックページを始めた多くのブロガーを見ていると、放置されてしまったものが多く、そうならないようにしてきたつもりだが、やはり更新頻度は減って行く。アクセス数などでは圧倒的にブログの方が多いのだが、更新が簡単な点とすぐにコメントが入り、反応がわかりやすいfbに偏りがちになってしまっている。ブログを書くクセを戻さないと。

久しぶりの話題は、かなりメディアでも取り上げられている歌登のタイ人観光客について。

ご存知の方も多いと思うが、道北の枝幸町歌登(元・歌登町)の町営ホテル歌登温泉 うたのぼりグリーンパークホテルに2010年からタイ人観光客が訪れるようになり、最初の年は200人、2011年は400人、2012年は600人、そして今年は800人の宿泊を見込んでいるという。タイと歌登を結ぶコーディネーターがいるようだが、最初にこの話を聞いた時は驚ろきと共に新しい芽吹きを感じさせてくれた。

道民であれば歌登の地名ぐらいは聞いたことがあると思うが、全国的にはゼロに等しい。鉄道ファンであれば1971年まで運転された殖民鉄道の歌登村営軌道や秘湯ファンであれば、「朝倉温泉」(グリーンパークの温泉はここから引湯)を想起するかもしれないが、とりたててこれというものはない。

実は管理人、1992年に同地を訪れ、この町営ホテルに泊まっている。どうして歌登を選択したのか思い出せないが、道北・遠別町の旭温泉に泊まった翌日、路線バスとJR、さらに路線バスと送迎バスを乗り継ぎ同地へ行っている。「歌登健康回復村」の名称で、当時は公共温泉ブームで真新しかった。こういう宿ではまだ珍しかったシングルルームに泊まったが、印象は薄い。何もないのはわかっていたが、本当に何もなく、のんびりと送迎バスの時間まで過ごした。何もせず緩やかに時間が過ぎたので健康回復村という仰々しいネーミングも強ち外れていなかったのもかもしれない。

この歌登町は枝幸町と合併、枝幸町にはもう一軒、「枝幸温泉 ホテル ニュー幸林」という町営の宿がある(こちらも1999年に宿泊)。町に2軒の公共の宿が出来てしまった訳だが、その後、民営化されて現在に至っている。2軒とも公共の宿としては上の部類と記憶している。

歌登にタイ人大挙の話は、観光資源のない無印市町村に大変参考になる話だ。ここで歌登の強みとでもいえるような点を考えてみた。

1.アクセスの悪さ★札幌から約5時間、旭川からも3時間以上、稚内からも2時間かかる道内でも屈指の便の悪さだ。逆に考えるとそこに宿泊せざるを得ないということになる。
2.メジャーな観光地が近くにない★道北のこのエリアはガイドブックに登場するような観光地が殆どない。初めから目的がグリーンパークホテルであり、その分、ホテル内で実施される各種アトラクションが観光である。
3.道内でも屈指の寒さ★陸別や占冠と共に最低気温の常連である。この寒さは暖かい所からの観光客にとっては大きなウリである。
4.宿がない★周辺にこれといった宿泊施設もない。否が応でも歌登のこのホテルだ。

遠い。観光地ではない。宿がない。寒い。このマイナス要因を上手く活用しているのが歌登のタイ人観光ではないであろうか。地域づくりの教科書に「弱みを逆手に取る」があるが、まさにその典型である。

館内では浴衣を着て、和太鼓演奏やたこ焼きづくり、餅つき体験、鮭の解体ショー、外ではかまくら作りなど何でもありの「JapanShow」が開催される。何でもありで、ひとつ間違えれば大きな誤解を招きかねない内容だが、管理人は手作り感があって、いかにも小さい町ならではの精一杯のおもてなしで、微笑ましく思う。

むしろ、ありきたりの大箱温泉ホテルに泊まるよりも、楽しいであろうし、タイ人観光客にとって印象に残るであろう。観光のプロではなく、一般市民のもてなしが、日本ビキナーのタイ人のハートを掴むのではないか。

お仕着せの大型温泉ホテルにはない地元(素人)のもてなしはSNSなどを通してリピーターへ繋がるはずだ。歌登の事例は、観光資源のない無印市町村の観光集客への可能性を示してくれた。苦戦する公共の宿や地元の宿再生へのヒントも教えてくれている。

なお、枝幸町では町内の2軒の元町営の宿を利用した「健康保養館」構想を打ち出している。ウエルネス・ツーリズムともいえるものだが、こちらも併せて注目をしたい。

参考サイト 「なぜ北海道の歌登にタイ人観光客が大挙しているのか?」

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