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巨人戦の放映中止は広告戦略の転換点

フジテレビでは、8月8日、9日、10日の「東京ヤクルトVS巨人」(於 神宮球場)の3連戦を『フジテレビデジタルナイターまつり』と銘打って大きくブームアップします。
CSデジタル放送、WEBサイト、携帯サイトの3つのデジタルメディア横断プロジェクトが初めて実現し、身近にあるあらゆる端末からLIVEの迫力に手軽にアクセスすることが可能になります。プロ野球の持つ魅力を、これまでにない新しい形で、日本中の野球ファンにお届けします。(フジテレビリリースより)
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先日のブログで「スタジアム広告と媒体効果」を書いたが、今回はスポーツ中継そのものの広告効果について考えてみた。
昨今、巨人戦視聴率低下が問題になっているが、フジ(CX系)では3連戦すべての地上波放映を中止した。これまで3連戦あれば1試合程度を抜くことがあっても「完全撤退」ははじめてのことである。
平均視聴率10%以下ではTX系(テレビ東京はキー)をも下回り、スポンサー離れを加速させるであろう。
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今回、CSとWEB、携帯をつかった3媒体中継をはじめて試みるが、今後の野球中継だけではなく、テレビのあり方を伺う意味で大変興味深い。
テレビとネットの融合がいわれて久しいが少しずつであるが変化が出てきている。大きな流れとしてはテレビ局がネット化に傾いていると思われるが、問題はビジネスモデルや収益が流動的で不確定であることだ。民放各局は広告料が収入源であるが、現在、テレビCM広告費は年間20411億円(2005年度)である。これに対し、ネット広告は2808億円であり、テレビが広告費全体の34.2%なのに対し、ネットは4.7%とかなりの開きがある。とはいえネット広告が去年はじめてラジオ広告を抜き、今後、ネットがテレビに接近し、パワーバランスが崩れることが予想される。
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プロ野球中継はJリーグがはじまるまでは国民的娯楽であった。今でも関西地区では阪神のジャイアンツ化(むしろJリーグの地域密着に近いか?)でNO.1のエンターテイメントを維持している。
視聴率の低下は野球人気が下がったのではなく、テレビコンテンツとしての野球の魅力がなくなっとことが大きいと思う。CSやWEB、携帯などメディアが増え、多様化したことで茶の間に座る時間が減り、どこでも楽しむことができる。HDDレコーダーがあれば”CM飛ばし”で後からの観戦も可能だ。
また、プロ野球ファンのニッチ化が進んでいるのではないか。これまでセリーグ、巨人一辺倒であったファンが、パリーグや阪神などに振り分けされており、パワーバランスが完全に崩れてしまった。
プロ野球全体の動員数は増えても巨人という核が脆弱化し、分散されれば全国放送が難しいであろう。
サッカーでは代表戦が人気なのに対し、Jリーグの試合に地上波テレビがつかないがいい例である。
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このままではいつのまにかゴールデンタイムから消えたプロレス中継やヒットチャート型の歌番組と同じ運命を辿りそうである。プロレスや歌謡曲番組が消えたのはそれそれ事情は違うが、背景には視聴者の嗜好の多様化に対応できなくなった点がある。
今後はWEBからの中継であれば、ネットの特性を活かしたユーザーの嗜好に合わせた広告の投入や、ネット広告からテレビ広告へつなげるようなメディアクロス型の展開になってゆくであろう。
また、マス市場特有の曖昧さが多く、効果測定が難しいテレビCMから撤退や戦略を変える企業が続出することが予想される。
今後、プロ野球はJリーグ化していくであろう。頼みはWBCのようなサッカー型のイベントかプロ野球の甲子園化であろうか。

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