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「北海道じゃらん」を考察する

大型連休中、「北海道じゃらん」を参考に旅へ出た方も多いのでは?
この雑誌、北海道ではモンスターである。何が凄いかと云えばまず部数、公称で約18万部だが、全国人口の5%に過ぎない北海道でこの部数は驚異的である。また、少し前の資料だが、発行地域の人口に占める読者の割合を示す雑誌閲読率では26.8%を記録、6年連続の「日本一」となっており、いちばんまわし読みをされている雑誌なのだ。道民誌は「クオリティ」ではなく、じゃらんと云ってよいであろう。
じゃらんはリクルートが全国7ブロックに分けて発行しているが、部数はすべて併せても100万部を切っており、全体的に凋落傾向にあると思われる。姉妹誌の「エイビーロード」はだいぶ前に廃刊になっており、出版不況、雑誌が売れない、タウン誌の廃刊が相次ぐ中、大健闘である。
5月号を捲ると、今月のご当地グルメは「阿寒焼き鳥丼」の紹介である。鳥ではなく、エゾシカを使ったもので、阿寒湖の旅館などが新名物として売り出しているものだ。毎号各地の新メニューが紹介されるが、4,5年から編集長であったヒロ中田氏が地産地消ブームに乗って、多くのご当地B級グルメをプロデュース、これが当たり各地でジャンク色の強い”特産フード”を開発している。これは別に北海道に限った現象ではなく、全国的な傾向だが、北海道発が目立つ。
このご当地B級グルメに関しては賛否両論あり、管理人とも考え方が異なるが、じゃらんが食の分野から観光にも大いに貢献しているのは事実である(JAが隠れ大クライアントという背景もあるが)。
また、メインページである宿紹介は掲載数が多く充実している。すべて広告であるが、道内の主要宿泊施設の大半が出稿している。大型時刻表にかつては数十頁は載っていた旅館広告が今は数えるしかないが、じゃらんは元気である。マンスリーでナマの宿情報がわかるので資料としても大変有難い。
リクルート発行の雑誌は記事と広告の比率が一般の雑誌と正反対である。一般誌は記事が20~25%で残りが広告だが、リクルートはその逆。ふつう、広告が30%を超えると雑誌としての公正が問われるが、じゃらんの場合、記事広告のようなものなので関係ない。リクルートの強みである。
じゃらんが北海道でシェアを伸ばした理由はいくつか考えられる。まず、道内発(道内観光客)に目を向けたことだ。これまで道外に目が行っていた観光業者を引き寄せ、広告出稿を飛躍的に伸ばした。また、島という北海道の地域性も市場が分散しにくく、ターゲットが絞り込み易いのだ。地域限定の強みを活かしやすいのが北海道なのだ。営業力もリクルートならではであり、女性スタッフが元気である。じゃらんでは他に九州版が売れているが、同様な理由からであろう。
今後、「北海道じゃらん」はどうなるのか?
状況から考えて、これ以上の部数アップは難しいであろう。web版「北海道じゃらん」もあるが、宿泊予約が主体で、じゃらんネット本体からのエンジン提供のようである。当面は紙は紙で行きそうな気配だが、将来的には宅配向けのフリペもありそうだ。じゃらんは、「ゆこゆこネット」を傘下に収めているが、今後、書店が少ない道内では「宅配」という選択肢も出てきそうである。

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