この日経BP記事のタイトルにある「コンビニ業界「北の異端児」吠える」という呼び方はセンセーショナルかもしれないが、コンビニ界のオンリーワンであることは間違いないであろう。セイコーマート(以下セコマ)がこれまで導入した数々の施策は大手コンビニモデルの常識を打ち破るものであるが、その後、3大コンビニが採用している事例も多い。
以前、消費財メーカーは新しもの好きと云われた北海道をテスト・マーケティングの場に選んでいたが、大手コンビニはセコマの動向を見守りながら次の戦略を練っているのではないか。
最近では、ドラッグストア大手のウエルシアホールディングスに弁当を供給するというニュースがあり、道新には「道内最大手コンビニ 「セイコーマート」 が関東で弁当を供給、新工場建設も視野に入れている」と報じていた。
関東では茨城県と埼玉県にしか店舗がないが、小売以外でも新たな展開を見せている。
弁当供給もそうであるが、アイスクリームなどの自社製品の外部販売や有名な輸入廉価ワインの卸し事業などもはやコンビニとはいえない業態になってきている。
実は管理人の住むエリアに「スリーエフ」というローカルコンビニがあるが、ここのワインはセコマの「G7]シリーズをはじめ何種類か扱っている。ところが最近になってローソン傘下になることとなり、今は多くの店舗がローソンに改装中。
そうなると「セコマワイン」が地元で扱わなくなる可能性がある。そのあたりを見越してかセコマはワインの通販事業に力を入れ始めている。スリーエフに限らず、多くの地方コンビニが大手傘下や吸収によって急速に姿を消している中、頼もしい存在である。
道外在住者で家の近くにセコマがあればと思う方は多いであろうが、首都圏では土地確保や賃料の問題、一定エリアにまとまった出店ができないと事業が成立しないことや会社の方針として直営店が今後主流になるので人材確保等の問題もあって首都圏での大規模展開は難しいであろう。道内でも札幌中心部の出店箇所を見ていると一等地から少し外れたような場所が多い。このあたりのコスト感覚は大手チェーンと異なるが、これがセコマの強みであろう。
道内発のユニーク優良企業は多い。ニトリをはじめ急展開をしたツルハ、びっくりドンキーなど北海道発で道外に進出し、成功した企業は、マーケットが狭い道内で揉まれているので、コスト感覚に優れ、打たれ強いといわれている。最近は道外での新店舗開店は控えめだが、これからは自ら製造、輸入した商品の外部販売(卸し)に力を入れるであろう。その独自性には驚かされる。
今の丸谷社長になってからは、それが全面に出てきているようである。
セコマは北海道産品製造業として、道外に大々的に打ってでそうな予感がある。十勝ワインをつくった丸谷金保池田町長の息子さんであり、パイオニア・スピリットも旺盛であろう。
道内ではコンビニ事業、道外へはメーカー&商社機能という3つの顔を持って事業展開を進めそうなセコマ。大手チェーンとは一線を画し、地方の弱みを強みに変えている会社である。
恐るべし 「鮨屋」があるススキノの店舗