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甜菜精糖を運ぶ貨物の廃止で十勝の私鉄の歴史に幕 姿を消す工場専用列車と引込み線

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十勝の芽室町にある日本最大の国産砂糖の精製工場から帯広の貨物駅まで砂糖を運んでいた私鉄列車が、1日、最後の運行を終えました。 最後の運行をしたのは、十勝地方唯一の私鉄、十勝鉄道が運行している、JR貨物の帯広貨物駅と日本甜菜製糖芽室製糖所との間のおよそ5.4キロの路線です。 (6/1 NHKオンライン北海道)

北海道からまた私鉄が消えた。

「まだあったの?」と聞かれそうだが、廃止になったのは、帯広貨物駅―日本甜菜製糖芽室製糖所間5.4キロを結んでいた貨物専用線・十勝鉄道である。日本甜菜製糖の100%子会社である十勝鉄道は、ビートの運搬路線として大正10年に運行開始し、その後、旅客営業も行ったが、42年前からは、日本最大の国産砂糖の精製工場から砂糖を運ぶ路線として運行されていた。

十勝鉄道というと鉄道ファンならピンとくる方も多いであろう。帯広を中心に戸蔦や八千代など南方面に路線を延ばし、かつては貨物だけではなく、旅客でも北海道一の路線網を築いていた私鉄である。その十勝鉄道が甜菜工場の貨物線として細々と生き残っていたのである。

 

管理人は根室本線の車窓から芽室にある甜菜製糖所を見るのが楽しみであった。ある時、引き込み線に停まったいた工場専用の機関車を車中から凝視してみると「十勝鉄道」と書かれてあった。それで、以前は旅客も行っていた会社と同一であり、今も健在であるとを知った。

巨大なタンクには「甜菜」と書かれていたが、最初の頃は「甜菜」そのものを知らず、読み方もわからなかった。てっきり砂糖は南の島でしか作れないものであると思っていたが、北海道へ通うようになって、恥ずかしながらその存在を知ったものだ。

工場専用の線路や列車には味がある。管理人は幼少の頃から工場や倉庫、港などの引込み線が好きであった。草生し、細々と、どこまでつながっているのかわからず、未知の世界へ連れて行ってくれそうに思えた。また、子供ながらものの哀れのようなものも察知した。最近、「乗り鉄」とか「撮り鉄」などファンの嗜好をカテゴライズするが、管理人の場合は「引き込み鉄」と名乗っていいであろう。

今では工場の専用線ほど大掛かりなものではない、たとえば酒屋の台車トロッコ用の線路などに惹かれて、探している。

この工場や鉱山などの専用線は急速に姿を消し、線路のみで使われていないものも風前の灯である。以前はどの駅にもあった客車・貨車などの入換や折返に使う側線も多くは剥がされ、生き残っているものも錆びて、草生している(広めの側線があった土地は国鉄清算事業団から民間へ売却されたものも多い)。昔、地方の小駅にも日本通運の窓口があり、蔵のような倉庫と貨物用の側線があったのが懐かしい。

 

甜菜を運んでいた十勝鉄道は、路線を共同利用していた日本オイルターミナル帯広営業所が5月末で廃止されたことから、コスト増で路線維持が難しくなり、トラック輸送に切り替えることになったという。会社は維持されるが、この路線の廃止で、十勝の私鉄の歴史に幕が下ろされることになった。

かつて旅客も行い現在貨物だけで運行する事例としては、釧路市の太平洋石炭販売輸送(旧:釧路臨港鉄道)のみとなった。

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