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LCCの旅行形態は「安く長く」、これは北海道旅行と好相性である

格安航空会社(LCC)利用客の旅行形態は「安く長く」――。沖縄県が観光客に実施した調査で、このような結果が出た。沖縄旅行にLCCを使った観光客の消費単価は1人5万9250円で、既存航空会社を使った観光客の平均(6万8031円)より12.9%低かった。「旅先ではぜいたくを」という地元の期待通りとなるには、宿泊や買い物などでの魅力向上が必要となりそうだ。(5/27付 日経新聞九州・沖縄版

観光客を受け入れる側はLCC利用者が往復の交通費を節約し、その分、滞在費にまわすといった期待をしたであろうが、この沖縄県のデータを見る限り、期待通りにはいかなかったようだ。宿泊日数は既存航空会社よりも多いが、現地での消費額は12.9%低く、ホテルもリゾート系ではなく、ビジネスや民宿などが多いという結果だが、管理人は当然かなと受け止めている。

LCCの場合、ネット予約が中心で個人旅行者が多いのに対し、既存航空会社の利用者はパックツアーやダイナミック・パッケージが沖縄旅行の場合主流である。航空券と宿は別途手配ということになるが、予約はネットで済ませ、決済・発券はコンビニで行うなど高速バスの利用とシステムが似ているところがある(勿論、既存のキャリアでも同様なシステムも採用しているが)。実際、LCCを利用してみると機内の雰囲気は高速バスの車内と似ており、カジュアルで若者が目立つ。この傾向はスカイマークにもあるが、LCCの方がより際立っているように思える。

管理人は交通費を節約するために利用する高速バス旅の延長線上にLCC利用があると考えている。わずか20年少しの期間で高速バス網は全国を網羅し、若者や女性層を中心に市民権を獲得したが、同時にそれは遠くへのお出かけ(大きな意味での旅行)の増加にも貢献している。たとえば、それまでのJR運賃の半額程度で地方から東京に遊びに来れるようになり、東京滞在の頻度が上がるようになった。確かに消費する金額は少ないかもしれないが旅や遠出を身近なものに変えている。これと同様なことがLCCでも云えるのではないか。

若者利用が多ければ、消費単価が下がるのは仕方がない。もっと上の年齢層にしても、LCCで旅行をする背景として、無駄なお金は極力使わずに楽しみたい旅行に利用する傾向があるのではないか。特にリピーターは目的を絞った旅行や滞在型が多いので、自ずと消費額が低くなると思われる。

これではうま味がないのではないかと受け入れる側はガッカリするかもしれないが、悲観することもないのではないか。まず、若者が多いということは将来の重要顧客に来てもらっているということである。今、沖縄や北海道もそうだが、若い時に旅をしてその土地のファンになった人たちに支えられている面が大きい。LCC就航は旅の門戸を広げて、その土地のファンづくりやリピーター獲得の機能を持ち合わせている。消費額が高くても、間違いなく将来がないシニア層を狙うよりはポテンシャルが高いはずだ。若者以外にも海外からLCCを乗り継いで各地を旅するインバウンド利用者への需要も大きい。

問題はLCCがまだ日本で根付いておらず、移動の選択肢としては弱い点である。定時運航や欠航問題、予約や発券の方法、搭乗のわかりにくさなど課題を挙げればキリはないが、受け入れる側から見ていちばんの問題は、就航した路線の維持ではないであろうか。折角、就航しても早々に撤退されてはたまらない。このあたりの信用問題は大きいかなと思う。

北海道に関しては、現在は札幌線のみである。今後はスカイマークが撤退した旭川線や年間を通した需要がある函館線、観光利用が多い帯広・釧路・女満別などの道東便の就航に期待をしたいところだ。自治体の中にはLCC就航の効果を疑問視するところもあるようだが、管理人は新たな需要を拾えると見込んでいる。LCCの旅行形態は「安く長く」というが、これは北海道観光が全盛であった今から3,40年前の形態である。管理人は北海道観光が強みを発揮できるのがこういった形態であると思っている。

そう考えるとLCCと北海道は好相性ではないか。若者の需要発掘やリピーターが増えてきたアジア系観光客への喚起など北海道観光の底上げにLCCを上手く活用していただきたいと願う。

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