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ルタオが函館土産に参入 格差が大きすぎる観光菓子業界

小樽の洋菓子ブランド「ルタオ」を展開するケイシイシイ(千歳市)は函館の土産品卸と組み、同地域を対象とした土産菓子のブランドを新設する。道南の海産物を使ったシリーズ商品で、今月末に第1弾を出し、順次増やしていく。北海道新幹線の開通で同地域の土産市場の拡大が見込めるため。開通に先駆けて商品を投入し、ブランドを定着させたい考えだ。(7/12付 日経北海道版

 

今や北海道を代表する土産スイーツに成長したルタオだが、その歴史はまだ新しい。ご存知の方も多いであろうが、親会社は道外からの進出組であり、当初は千歳空港内での販売を考え、千歳市内にあった古いチョコレート工場を買ったのがきっかけという。その後、方針を変更し、小樽に拠点を置いたが、ルタオの親会社は鳥取県で菓子製造を営む寿製菓という会社である。現在は多角経営に乗り出しており、寿スピリッツというホールディング・カンパニーのもと、ルタオを運営するケイシイシイや、本家である寿製菓では山陰銘菓の「因幡の白うさぎ」を販売、今年度には東証1部上場を果たした優良企業である。

現在、寿スピリッツの売り上げの7割をルタオが占めており、どこがホームタウンなのかわからない状態になっている。ルタオのような道外からの参入組はいくつかあるが、元が老舗の製菓業であり、観光土産を生産していたので、そのノウハウにも長けていたようである。ルタオの販路は、①直営店②空港③全国百貨店などでの催事営業④通信販売であるが、ここまでなら資本力のある会社はだいたいやっていることである。戦略的に感じるのは、小樽周辺に多店舗を展開し、短時間で小樽ブランドであることを植え付けたことや、道内での販売も空港などの土産物店など限られた場所に出店をしていることだ。「北海道限定」の販売戦略はどこでもやっていることだが、道内でも限られた場所で販売することでプレミア・希少価値感をさらに醸成している。ルタオ商品に対して、消費者は軽い飢餓感を覚え、百貨店の物産展では爆発的な人気となるが、何といっても強みは通販である。生菓子が多いという特徴を活かして道内を含んで全国からオーダーが入るが、遠隔地、生ものという弱みを強みに変えている。

管理人は10年以上前から、道産品(特に土産もの)を売るには、消費者(旅行者)に出し惜しみをすることで、軽い飢餓感を持たせることだとセミナーなどでも述べてきた。手に入りにくい状態にすれば、消費者は通販など別の販路を求めてやってくる。たとえば、花畑牧場のように全国展開をしてしまったら、飢餓感がなくなり、やがて飽きられる。道内どこにでも置いてある「白い恋人」でさえも、道外では催事での販売が殆どで、アンテナショップではスポット的にしか置かない。あれほどマス流通しているものでも、そこは緻密に計算されている。そう考えるとブームとなっている各地のアンテナショップに出品している事業者は上手くやらないと諸刃の剣になりかねない側面もある。

余談であるが、管理人の地元に「源吉兆庵」という和菓子屋がある。いかにも鎌倉に根付いた風で、本店内には魯山人のコレクションを集めた「吉兆庵美術館」もあるが、実は経営をしているのは岡山の和菓子屋であり、20年ほど前にエセ鎌倉土産のメッカ「小町通り」に進出をした”なんちゃって老舗”である。小町と小樽の運河通り周辺は外部からの参入が殆どで、小樽へ行くと同じ匂いを感じるものだ。源吉兆庵は鎌倉では「本店」と名乗っており、岡山のおの字もないが、銀座にも店を出し、こちらは「銀座本店」といっている。ルタオとケースが似ているが、吉兆庵の方はHPを辿っていけば岡山の店であることがすぐにわかる。しかしながら、ルタオの場合は、「因幡の白うさぎ」には辿りつかないようになっており、なかなかである。

 

今回、ルタオ(ケイシイシイ)では、函館での観光土産菓子を販売するが、これまでの洋風スイーツ路線とは異なり(スナッフルスのチーズケーキもあり、かぶってしまう)、地元産のイカと道産米を練り上げて鉄板で焼き上げる「いかめしポッポせんべい」なるものを工場のある但馬地方で作らせて販売するという。もし、これが人気商品になってしまえばイカを使った数々の土産品を作っている地元業者は複雑であろう。函館は地元を代表する菓子土産がないといわれ、この数年、イカやがごめ昆布など特産品を使ったものを積極的に作っている。管理人は、生産者の思いが先行してしまって、消費者マインドまで意識がまわっていないという印象を持っていた。以前から思っていることだが、イカやがごめ昆布などに拘ることにより、かえって自由な発想を無くしているような気もするが。

なお、空港などの大きな土産店で扱ってもらうには包装や表記などの規格に高いハードルがあり、大ロットを作れる工場でないと生産できないという事情もあって、どうしても大きな会社が優先されるという。よく地方空港内でどうして地元の土産菓子がなく、「御三家」ばかりが幅を利かせているのか問題になるが、裏にはそんな事情も隠れているようだ。ルタオが道内ではなく、但馬で作る理由もそのあたりであろう。

どうも土産菓子には大きな工場(資本力)と営業力、すぐれた商品開発や企画力、さらに政治力がないと難しいようで、相当な格差社会である。今後、ルタオが函館で幅を利かせることは十分に考えられるが、これでは地元業者は浮かばれないのではないか。

 

litao

 

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