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JRびゅーと湯の川温泉、夕食は外で、滞在型を見込んだ新たな試み

JR東日本の旅行部門、「びゅう」が発売する旅行商品で今月からちょっとユニークなものが登場した。
最近、函館観光に力を入れているJR東日本であるが、温泉に泊まりながら食事は旅館の朝食のみで夕食は市内の好きな店へ食べにいく「湯の川温泉イチ朝パック」を発売した。
おすすめ食事どころの紹介や飲食店までの無料送迎などもあり、函館山ロープウエィー乗車券や市電乗車券などとセットになり、夕食と共に夜の観光も楽しめる内容になっている。
料金は東京から往復JR利用で21,800円からで、宿は湯の川観光ホテル、平成館、丸仙旅館などからチョイスできる。
湯の川温泉は、空港と中心街の中間に位置し、市街地にありながらアクセスが悪く、個人では観光や買い物に行きにくい立地環境にある。夜景観光のバスで外出する以外は、街なかに出る機会は少なく、観光客は旅館のなかで過ごすことが多かった。
湯の川に宿泊する観光客が外へ出ないことは、地域へお金を落とさず折角、宿泊をしても地域へ経済効果を生み出さない問題があった。
通常、大型旅館は2食付であるが、湯の川が夕食抜きにした旅行商品を出した背景としては、函館と湯の川温泉への観光入込み数が毎年減り続けており、現在は外国人観光客に依存している状況である。
旅行嗜好の変化により、団体客が減り、危機感をもった地元は個人客向けのニーズ開発を探っている状態である。
現在、ロングステイ(滞在型)観光が注目を集め、「オンパク」など施策が打ち出されているが、手探りの状態であり、今回の朝食のみのJR商品も冬の閑散期を利用したテスト的なものではないであろうか。
夕食を外で取るという試みは、つい先日、阿寒湖温泉でも行なわれた。パックツアーではないが、鶴雅グループのホテル「花ゆう香」と阿寒ロイヤルグループのホテル「御前水」の宿泊客を対象に、温泉街の飲食店で共通利用できるミールクーポンを導入した。
滞在型観光には食の多様化は不可欠であり、街を回遊する観光客が増えれば、温泉街のにぎわいにもつながるという狙いであるが、温泉街や街が魅力的でなければ連泊は期待できない。
同様な試みとしては、洞爺湖温泉や糠平温泉でも2泊以上の滞在者に他のホテルや飲食店で夕食が取れる仕組みを導入している。
また、大手旅行会社のパック商品では、札幌市内などのシティホテルに宿泊した場合、朝食を他のホテルでも取れるサービスを実施、函館ではホテルの朝食に代わって朝市内の食堂で取れるなど顧客をつなぎとめるために趣向を凝らしたサービスを打ち出している。
旅館に泊まり、外へ夕食を取りに行く場合だと温泉に入った後、わざわざ出かけるのは億劫のような気がする。湯治や長期滞在なら別だが、「湯の川温泉イチ朝パック」のような1泊が基本のパックではどうであろうか。
旅館側から見ても単価が安く、あまり面白みがない企画ではないであろうか。湯の川ではないが、他の温泉で実施している違う旅館で夕食を取るというのも何となく敷居が高い。
こういった食泊分離は、国が滞在型旅行振興のために施策を打ち出しているが、長い「伝統」を変えるのは容易ではないはずだ。外国人にはB&Bのようなスタイルが好まれるが、日本人にそれが合っているとは決していえない。
むしろ、連泊用の食事を質素にして、料金をリーズナブルにするなどして滞在日数や訪問回数が増えるようなリピータづくりに努力することも必要であると思うが。
■湯の川温泉イチ朝パック
http://www.travel.eki-net.com/sp_yunokawa2006win/index.asp

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