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画期的!定山渓・章月グランドホテルの「脱カニ」宣言

今回は「食と観光ミシュラン」です。
北海道を旅行していると同じ食材が連日食卓に並び、初めは新鮮で、感激しても次第に苦痛になってゆくことがあります。
著者は今月、10日間にわたり道内各地を歩きましたが、まさにそういう事態に遭遇しました。二日連続以上の夕食付きは避け、意識的に二日に1回は食事が付かないホテルに泊まるようにしていますが、それでも食傷気味になってしまいました。
定山渓温泉の老舗、章月グランドホテルが今春から、道内観光地の多くのホテルや旅館の定番と言えるカニや地物以外の刺し身を夕食から極力外し、地場の野菜類を中心にしたメニューに切り替えるという試みをはじめました。道内では珍しい「脱カニ」の取り組みです。
道内を周遊する道外からの観光客には未だに「カニ信仰」があります。北海道へ行ったからには本場のカニをたらふく食べて帰らなかれば埒があかないといったところで、大手代理店主催のオフシーズン期の催行や1、2泊程度のツアーにカニを売り物にしたものが目立ちます。
ところがツアー旅行の場合、夕食付きの温泉ホテル宿泊が中心なので連日連夜、カニやイカ、サケ攻めにあってしまうことがあります。特にパックツアーで使う宿は規模が大きい所が多いので食事メニューも決まりきった画一的なものになってしまいがちです。
章月グランドホテルの場合、道内を数日かけて巡るツアーは、最後に定山渓温泉で宿泊し新千歳空港から帰路につくパターンが多いので既にお客さんは道産の海の幸に食傷気味の状態で定山渓に来るということです。
そこでお客さんにとって新鮮なメニューの提供を検討。
近くの農園でとれる野菜やキノコ、山菜、地鶏などを中心にしたメニューを組み立て、山里料理と名付け四月から出し始めました。刺し身は一鉢付けますが、定山渓に近い小樽近海物に限定しました。
もともと章月グランドホテルは料理に定評がある宿で、和食料理長がテレビ番組の「料理の鉄人」にも出演したほどの腕前です。宿側の意識付けや水準が高かったからこそ出来た英断であったかもしれません。
北海道の場合、ツアーが立ち寄るような大型ホテルでは、カニが取れない地域や山の中でもカニ攻めにあいます。カニの食べ放題などは時間が不確定なツアー客相手では手がかからず無難なメニューであるかもしれません。しかし、多くの観光客が飽きていることも事実であり、近隣アジア諸国からのリピータ客からもクレイムが出ているようです。
最近は少しずつですが地域の特産や名物を食卓に出すケースが増えてきています。個人客が多い小規模の宿ではそれが当然のように出ますが大量仕入れの大手チェーンホテルではまだまだそうもいかないようです。
ホテル側は一見豪華でも、お決まりセットメニューで、食べきれない量の食事を提供されることが苦痛であるということをお客さんの立場になって一度考えてみるとよいでしょう。もう少し創意工夫がある料理を期待したいところです。
なお、章月グランドホテルでは希望客にはカニも用意するということです。カニ好きの方は安心をして下さい。

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