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■トピックス  札幌市電を元気にするためのアイデア  

 札幌市電は上田市長の決定により、廃止を免れ、存続が決定しました。しかし、減少する利用客数や車両の老朽化など厳しい状況は変わらず問題は山積みです。沿線は住民が増えているのにもかかわらず利用者が減っており、市電の魅力不足や潜在需要を拾えていないことも想像できます。
そこで札幌市電復活へ向けてヒントになりそうなニュースを紹介したいと思います。
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わかやま電鉄貴志川線という鉄道をご存知でしょうか?
よほどの鉄道ファンか地域の方しか知らない名前であると思います。正式には来年の4月から南海電鉄貴志川線を引き継いであらたに誕生する鉄道会社線の名前です。
貴志川線は和歌山駅を基点に貴志までの14.3キロを結んでいる路線ですが赤字を理由に運行する南海電鉄が2005年3月限りでの廃止を決定していました。
存続問題が浮上しましたが、地元の和歌山市と貴志川町があらたな受け入れ先を探すことになりました。赤字のローカル線を引き継ぐ先はないかと思われましたが、岡山の市民団体RACDA(路面電車と都市の未来を考える会)の全国的な活動により南海貴志川線の存続問題について和歌山市の市民団体に話があり、岡山電気鉄道が貴志川線を継承することが決定しました。
運営事業者の募集には他に応募がありませんでしたが、県外の、それも市内電車を運営する会社が経営に参加するというのは極めて異例なケースであり、大手私鉄の路線を地方の中小私鉄が買収するというのもあまり聞いたことがありません。
この岡山電気鉄道(以下岡電)は市内中心部を走る路面電車や路線バスなどを営業しており、営業距離は4.7キロ、保有車両は21両で全国の路面電車事業者の中でも小さな部類です(ちなみに札幌市電は8.5キロ34両、函館市電は10.4キロで35両)また、岡電は、岡山県を代表する企業グループである両備グループに属しています。
岡電が離れた和歌山県でローカル線を営業するという”積極経営”に出た理由はわからない点もありますが、両備グループの意向なども考えられ、どちらにせよ画期的といっていいことです。
この岡電は地元でも積極的な動きをしています。たとえば車両のデザインをJR九州「つばめ」をデザインした水戸岡鋭二氏に依頼、新型の超低床型車両(LRT)を導入し、「MOMO」と名称、また、古い旧型車両は車体を真っ黒にして社内はレトロ風に改造し「KURO」と名づけるなど斬新なデザインで、これまでの路面電車とは一風変わったコンセプトを打ち出しています。
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現在、札幌市電に必要なことは、岡電に見られるような思い切った発想の転換ではないでしょうか。今すぐに路線の延伸や老朽車両の入れ替えには多くの投資が必要であり、非現実的と思えます。
たとえば岡電のような乗って楽しい車両への改造や電停のロケーションシステムの導入程度であればそれほどお金はかかりません。未来の構想も重要ですが、現在、手持ちのリソースでできうる改革案も重要なはずです。まずは乗客を増やすことが先決と考えます。
現在、1日平均の利用者は95年度の2万5,558人をピークに年々ダウン、2004年度は2万0,277人まで減っています。沿線はマンションが増え、交通渋滞が慢性化しているのにも関わらず利用者が減っているのが実情です。
札幌市電ではヨーロッパを模倣した低床型車両(LRT)の導入が盛んにいわれています。また、分断され中途半端な路線に問題があると線路のループ化や札幌駅前への乗り入れなども討議されています。
これらの問題は将来のためクリアしなくてならないテーマですが、既存の範囲で何ができうるか考えてもらいたいものです。
また、交通局での運営がもともと無理であるなら貴志川線のように運営事業者を公募するとか行政の枠を超えて函館市電も組み入れた同一の運営組織をつくり、効率的な運営をするといったアイデアもあるかと思います。
ふるさと銀河線の廃止問題にしても存続に対する原則論や非現実的な話が多く、現実とかけ離れた討議になっているような気がしてなりません。
北海道の場合、形から入ってしまうような傾向がありますが、是非既成概念にとらわれず、且つ現実的な論議をしてもらいたいものです。
▼参考サイト
岡山電気鉄道 http://www.okayama-kido.co.jp/
貴志川線の未来をつくる会 http://kishigawa-sen.com/
札幌市交通局 http://www.city.sapporo.jp/st/index.html

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