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北海道観光に高級志向到来の予感

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写真:高級志向の北海道ツアーパンフ類
 
株価の上昇などにより、このところバブル時代を彷彿させるような出来事が起きはじめています。
また、ベストセラーになった「下流社会」に代表される社会構造の二極化、「勝ち組」「負け組」といった産業構造の変化は、消費行動にも大きな影響を与えていますが、北海道観光を例にとってもこれまでとは違う流れが出始めています。
バブル崩壊以降の北海道観光は、ツアー料金の激安化、宿泊料金の値下げなど長らくデフレ・スパイラル傾向が続いており、稼動しても儲からない悪循環に陥っていました。
ところがここに来て、安いもの中心から、高価なものにも市場の光が当る動きが出てきています。
これまでも富裕層をターゲットにした高価な旅行ツアーや宿泊施設には、一定の支持がありましたが、最近では富裕・高齢者層だけではなく、幅広い年齢層へ向けた高級志向の商品が登場するようになりました。
バブル期のような、ただ贅沢、豪華にというのではなく、ワンランク上のものを求める、よく商品名に使われる「プレミアム感」があるものに注目が集まっています。
80年代後半のバブル期は、国内よりは海外旅行、ペンションよりはリゾートホテル、ふつうの温泉旅館よりは次の間付きの豪華温泉ホテルといった具合に、これまで体験したことがないような非日常空間の大名旅行に人気が集まりました。
ゴルフ場やスキー場などのリゾート開発に代表される豪華大型施設や、デラックスな内装などハード面に「贅沢」の比重が置かれる傾向がありました。
「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」のチケットが入手困難となり、オリエント急行や国際線のファーストクラス、豪華客船などに代表される桁違いのものが瞬く間にさばけた時代です。
勿論、今でもバブル期のようなスタイルの需要はありますが、全体的には消費者の目が肥えており、お金をかけるところには投資を惜しまないいいもの・ほんもの志向に変化をしてきています。
特にバブル期をナマで体験している団塊層から新人類世代と団塊ジュニアの前世代(1947~1967年頃生まれ 58才から38才ぐらい)は、この傾向が強く、プロ顔負けの知識や、こだわりの旅行スタイルを持っている人が多いのが特長です。
プロの目を持ち、そこそこ所得もある旅なれた彼らを満足させるために旅行会社、宿、交通機関などは新しい商品を開発するようになっていますが、そのキーワードが「プレミアム感」や「プチ贅沢」を意識させるものです。
たとえば旅行商品では、観光ハイヤー、客室露天、冷蔵庫フリー、羽田タクシーチケット、レイトチェックアウトなどを売り物にしたパッケージツアーなどが登場していますが、極端に高い金額設定ではなく、手が届きそうな範囲に収めているのが特長といえます。
宿では、温泉の露天風呂付きの客室も道内でも遅ればせながら増加しており、JRタワーホテルや京王プラザホテル札幌、札幌プリンスホテルタワーなどシティホテルでも客室を癒し空間にするなどして一般客室との差別化に務めています。
輸送機関でも、ANAが導入をした国内線の「プレミアムスーパーシート」が好評です。これまでのスーパーシートをグレードアップさせ、ビジネスクラスに近づけたようなサービス内容ですが、値段が上がったのにも関わらず需要が増えています。
これは、JALがスーパーシートを廃止し、Jシートという千円追加で乗れるプチ贅沢といもいえるプレミアムシートを打ち出しているのとは好対照ですが、両社ともワンランク上の付加価値を狙い、差別化をはかっています。
JR北海道でも冬季限定ですが、JR北海道、東日本エリアのグリーン車が乗り放題でひとり35,000円でお釣がくる「いい夫婦きっぷ」の発売や、新千歳空港のエアポートライナーに500円を追加するとグリーン車並の座席に座れるUシートなどワンクラス上を意識した商品が増えています。
これらの商品・サービスの特長は、既存のリソースを活用しながらワンクラス上を行くことで差別化をはかり、高付加価値で収益アップにむすびつける戦略が伺えます。
ウインザーホテル洞爺が高稼働率を誇っていますが、利用者の多くが中高年富裕者かというとそうでもなく、新人類世代やそれよりも若い層をみかけます。
個人単価が4~5万円というのは、北海道では群を抜いた高額ですが、いいもの、ほんものには出し惜しみをしないニーズがそこにはあり、プチ贅沢志向の代表といえるかもしれません。
今後、バブル期を体験した目が肥え、遊びなれた団塊世代がリタイアすると旅行の需要が高まるだけではなく、より話題性があり、プレミアム感がある旅行・観光の提供が必要になります。
また、新人類世代からさらに若い現在のIT長者にに代表される一部富裕層(団塊ジュニア含)までもが、それらのターゲットに入ります。
旅スタイルは、首都圏発19,800円の格安北海道旅行の需要も続くことが予想されますが、プレミアム型のプチ贅沢旅行の需要がもっと増してゆくでしょう。
「エコノミー」な旅と「高付加価値」による旅の二極化が進んでゆきそうです。

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