*

ウィラーが16席の豪華バスを投入、スキーバス黄金時代にも同じようなことがあった

高速ツアーバスを運行するウィラー・トラベルは17日、東京〜大阪間にビジネスクラスの高速バスの運行を開始した。通常40席配置できるスペースを16席でゆったり使う新車両を導入。ホテルの客室のようにくつろげる空間を演出し、「疲れる」「眠れない」などのイメージを払しょく。ビジネス需要の活性化を目指す。(7/25付 観光経済新聞

ツアーバスの雄であるウィラー・トラベルの付加価値サービス化が進んでいる。ゆとり座席のエグゼクティブシートの設置、車内無線LANの設置など新たな需要拡大をはかってきたが、今度は僅か16席のデラックス車両の投入だ。
新車両の座席は3列の配置で、カーテンの仕切りにより個室のような空間がつくれる1列席の「ビジネスクラスコンフォート」6席と、隣の席との間をパーテーションで仕切れる2列席の「ビジネスクラス」10席の2タイプの座席から成っている。これまでの夜間高速バスのデラックスシートは2階建バスの1階部分や後部座席に設置するなど車両の一部であったが、車両まるごとDXタイプというのは初めてではないか。
これまでわかりにくかった乗り場も東京では品川プリンスホテルや大阪ではホテルニューオータニ大阪などのホテルを活用しており、このあたりにも付加価値を出している。
果たして16席で採算が取れるのか気になったが、料金は8800〜1万800円。通常のツアーバスでは東京-大阪間で平均4千円程度、仮に40席とすれば満席で16万円、DXタイプで満席になっても概ね車両1台当りの売上げは同じで、現状ではDXタイプから先に埋まって行くので設備投資分もすぐに回収できるのであろう。
ターゲットはビジネスマンと公式HPに謳っているが、広めの化粧室など女性を意識したものとなっており、認可制高速バスだけではなく、東海道新幹線にとっても競合である。
寝台バスの認可は国内では無理だが、座席のフルフラット化(ウイラーのビジネスクラスでは162度)や座席テレビモニターの設置など航空機のスーパーシートのレベルには近づこうとしている。しかし、JRのグリーン車や国際線のビジネスクラスと比較すればまだまだである。ウィラーの最高級の座席でも新幹線の普通車運賃より遥かに安く、「ぷらっとこだま」レベルなのだから仕方はないが。
今の状況はスキーバスツアーが華やかであった80年代と似ている。JRの「シュプール号」に対抗して、スキー場エリアに路線も持つ定期バス事業者は夜行スキーバスを運行、さらにウィラーのような旅行会社がサロンバスなどを投入して差別化を図った。当時は夜行高速バスは殆ど走っておらず、3列シートもなかったが、座席が回転して、サロンになる貸切バスがあり、それらがスキーバスに投入された(KM観光が関東ではいちばん豪華ではなかったか)。
事業者はサミーツアーがいちばん有名で、JTB系のサン&サン、ツアーバスで今でも当時のノウハウを活かしているオリオンツアーなどがあったが、基本的な構図は現在と変わっていないのかもしれない。変わったのは利用者の乗車目的の方である。

 - すべての記事一覧, 公共交通(バス関連)