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『監獄ベースボール 知られざる北の野球史』(成田智志著 亜璃西社発行)

昨年11月に出版された本だがユニーク且つ貴重な内容であったので紹介をさせていただく。
ファイターズが上陸するまで長く野球不毛の地であった北海道。明治後期に創設された函館オーシャン倶楽部が北海道野球の黎明だと思っていたが、それより20年近く前から野球が行なわれていたのだ。それも刑務所で・・・・・この本はそんな北海道開拓の時代に人知れず集治監で行なわれていた野球と監獄所長について、史実に基づいた著した歴史小説である。

明治中期、月形に北海道開拓のためにあの監獄がつくられた。そこに全国各地から送り込まれた囚人たちは、石炭採掘など過酷な労役に苦しんでいたが、典獄(監獄所長)の大井上輝前は、アメリカ留学で出会ったベースボールとキリスト教を囚人教化に採り入れ、監獄の改良を志すことになった。
国策の犠牲となった囚人たちと、彼らに希望の光を与えた大井上典獄の半生をドラマチックに描いた、異色の長編歴史小説である『監獄ベースボール 知られざる北の野球史』。これまで知ることのなかった北海道開拓と野球の歴史だ。
管理人は月形樺戸博物館にはだいぶ前に行ったことがあるが、野球に関する資料は記憶ない。明治中期のころ頃、過酷な環境とはいえ、その後のタコ部屋、強制労働に較べるとまだまだ自由民権の名残か多少はよい時代であったのかもしれない。
あとがきの著者の言葉が印象的だ。
「囚人が「人」として扱われることのなかった時代にわずかに射した一筋の光-「監獄ベースボール」に思いを馳せながら。
なお、樺戸監獄に関して来月6日(土)に講演会「樺戸集治監と北海道」が開催される。樺戸集治監が設置された明治14年から大正8年までとその前後、道内ではどのような社会的動きがあったのかを、北海道史のエキスパートである桑原教授が解説する。
テーマ:「樺戸集治監と北海道」
講 師:札幌大学大学院 経済学研究科長 桑原真人氏
日 時:平成22年3月6日(土) 午後1時30分~午後3時
場 所:月形町交流センター「つきあえ~る」
参加料:500円(月形町民は無料)
定 員:50名(先着順)

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