道は、道内を訪れ生活体験する「ちょっと暮らし」の2011年度実績をまとめた。全道の参加人数、滞在日数共に前年度を大幅に上回っている。市町村別では上半期1位だった釧路市が人数と日数ともにトップで年間でも1位となり、10年度1位だった中標津町が5位となっている。(5/28付 釧路新聞)
釧路市の滞在プロジェクトについては管理人が関与していたこともあり、何度が紹介させていただいた。ちなみに携わっていた2008年度の夏季滞在者(5月-9月)は31人で日数は482日、2009年度は39人で1502泊であった。2011年度は年間通し人数で123人、4855泊と大幅に増やしており、プロジェクトが浸透してきたことが伺える。
実際には市でも把握できていない滞在者もかなり多くいると思われ、「ちょっと暮らし」が始まる以前からかなりのリピーターがいたことも管理人は掌握している。
「ちょっと暮らし」は道内の多くの市町村で実施されているが、釧路市場合、「日本一の涼しさ」ならびに都市型生活と田舎暮らしの両方が体験できることがパブリシティ・ポイントとなっている。当初、「涼しい釧路でロングスティ」というキャッチフレーズを謳っていたが、夏季の最高気温が20℃前後であり、20万都市でありながら、阿寒と釧路湿原の2つの国立公園があるという自然環境が訴求点となっている。
釧路市の場合、滞在者の受け入れに対しては、市内のホテルや不動産業者、交通機関、旅行会社、観光団体などでつくる「釧路長期滞在ビジネス研究会」が商品の企画や斡旋、プロモーションなどを行っており、情報収集が難しいマンスリーなどの賃貸物件などの情報をWebなどからも提供している。
管理人が携わっていた頃は民間事業者の受け入れに対する意識が希薄で、「どうして夏の釧路で長期間過すのか」について理解できなかったようで、滞在する側に立って説明させていただいた。地元からしてみれば、阿寒湖や釧路湿原での滞在は理解できても、釧路のマチなかでどうしてと思ったであろうし、それがビジネスチャンスに繫がることも理解できなかってであろう。地域の魅力とは外部の目で掘り起こし、あとは地元で根付かせるものかもしれない。
「ちょっと暮らし」が少しずつ浸透してきていることは間違いないが課題もある。たとえば夏季、道内を旅行する観光客数と比較すると滞在客はごくごく少数である。また、滞在者の多くが大都市圏在住者のリタイアをした中高年層であり、滞在者層がまだ限られている。
これは「旅行」というよりは、「体験生活」を前面に出しているので、利用層が限られてしまうことも関係していると思う。「移住」も絡んでいるので、「ちょっと暮らし」という表現になっているが、裾野を広げるのであれば、もう少し若年層をターゲットに、観光色を打ち出してもいいかもしれない。
先日の拙ブログで、北海道観光振興機構が同じホテルに5連泊をすれば、3万円キャッシュバックをするという長期滞在モニターについて紹介をしたが、そういったものと連携できれば、新たな需要やファンが生まれてくるはずである。釧路市では道外の企業向けに釧路市での夏季セミナーや会議などを招致するプロジェクトも進めているが、働き盛りの人にも是非来ていただきたい。
電力需給問題や震災後の生活観の変化など長期滞在には追い風となっている。今夏は旅行者の大幅な増加が見込まれるというが、「ちょっと暮らし」と滞在型観光のポジションをさらに近づけることが利用者増へ繫がるはずだ。
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