えちぜん鉄道アテンダント乗車表示と車内アテンダント
先日、石川出張の帰り、福井で途中下車。以前から気になっていた「えちぜん鉄道」に乗車をした。
えちぜん鉄道は勝山永平寺線と三国芦原線の2路線から成る第三セクター鉄道である。かつては京福電鉄が運行していたが、1年間に2度にわたる正面衝突事故を起し、運輸省からはじめての「運行停止命令」が出され営業休止に。その前から大幅な赤字を抱えており京福電鉄は廃止を申請、2年近く電車が走っていなかったが、沿線住民の熱望を受けた結果、沿線自治体などが三セクを設立し、えちぜん鉄道として再出発した。
この鉄道には京福時代の1985年、1990年、2000年となぜか3度も乗車しているが、えちぜん鉄道になってからは初。女性アテンダントが有名で、「ローカル線ガールズ」という本にもなっている。車内アテンダントは、「しなの鉄道」が先輩だが、えちぜん鉄道は事故の教訓から、安全と顧客サービスを前面に打ち出し、乗車させている。
えちぜん鉄道福井駅 下の写真は1990年 北陸線高架が完成しておらずJRホームからそのまま乗り継げた 番線も変わっている 251と書かれた電車は2001年に正面衝突で大破 運行停止へつながっている
管理人が乗車したのは三国線の三国港行き。三国港までは片道750円かかるが、当日は800円で2路線乗り放題の週末限定フリーきっぷを購入した。かなりお得なきっぷである。
電車が動き出すと、アテンダントの明るいアナウンスが始まる。アテンダントは車掌と観光ガイド、高齢者や子供連れへの介助など忙しく動き回る。「車内で何かお困りのことがありましたら、ご遠慮なくお申し付けください」 。大変丁寧で親切、決してマニュアル通りの事務的な笑顔ではなく、心から利用者に接していることが伝わってくる。
客とじかに接するために自動券売機は各駅で全廃され、車内でアテンダントからきっぷを買うが、床に片膝を付けて利用者に接する。鉄道でははじめて見た光景だ。運転席後ろには小さい子供を二人連れた夫婦が居たが、アテンダントは2才ぐらいの子供を抱きかかえて、景色を見せてあげている。この家族連れ、鉄道に乗るのが目的のようで、管理人と同じフリーきっぷを持っていた。地元の人間のようだが、”乗り鉄”で家族連れが来るなどこれまでにはなかったことであろう。
アテンダントは野球のユニホームのような制服を着ていたが、制服の上に、地元福井の独立プロ野球チーム・エレファンツのレプリカを被ったもので、この日限定のようだ。ちょうど沿線の三国球場で試合があったからで、このあたりにも地域密着が伺える。
終点まで乗ったが、ひとつ手前の三国駅が近づくと、アテンダントから東尋坊方面のバス時間の案内があり、わざわざ管理人の席まで確認に来られた(観光客に見られたか)。
三国線終点三国港駅 現在と1990年 ほとんど変わっておらず自動販売機の位置も同じ
えちぜん鉄道のアテンダントを見てかんじたことは、楽しく仕事をしており、職業に誇りを持っているように見えたことだ。ローカル鉄道の車内でおもてなしの心をみたかんじだ。利用者の間にもすっかり溶け込んでおり、アテンダントの存在が鉄道再生へ向け、大きな位置付けになっているようだった。
合理化や人減らしこそがローカル鉄道の存続へ向けた絶対的条件だと思われているが、乗りたくなるような鉄道を提供することが基本であり、鉄道もサービス業なのだという原点に立ち返らなければ今後、廃止路線が益々増えて行くだろうと危惧している。ふるさと銀河線も「サービス」という発想があれば状況が変わっていたかもしれない。たかがアテンダントと思うかもしれないが馬鹿にしてはならない。
2000年撮影 上:東古市駅(現・永平寺口)に停車する永平寺行き電車 下:現在は廃線になった永平寺線
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コメント(7件)
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管理人様こんにちは
この話題、以前テレビで見たことあります。
昔、バスがツーマンだった頃、優しい女性の車掌さんを思い出します。
ローカル線の場合、何かと経費節減策が表面に出てきますが、経営者のおもてなしの心がとても感じられます。
昔、日高線に「日高ポニー号」だったかな?
車両に子馬みたいなペイントを施し、車内にも遊び心が見られる工夫をし、苫小牧から静内まで期間限定で走ってました。
観光協会の女性ガイドが見所をアナウンスし、子馬が見られる牧場近辺では、ゆっくり走ってました。
私も乗ったことありますが、本州からわざわざ乗りにきたり、
全国的に有名な北海道の鉄子さんである、女性フリーカメラマンも乗ってましたね。
ローカル線をかかえる、JRなど「えちぜん鉄道」を参考とするところ大ですね。
元夕張市民さん、こんにちは。
えちぜん鉄道のアテンダントには感動すら覚えました。民間出身の社長のアイデアのようですが、京福時代とはこうも変わるのかと驚きです。
日高線の話は知りませんでした。JR北海道さんも日高線や留萌線、花咲線などワンマン区間にアテンダントを導入したらどうでしょうか。えちぜん鉄道の場合、京福時代の利用者数に戻り、さらに微増しているということなので効果があるのでは。もし、観光ガイドなどやってくれたら話題になりますよ。
また券売機撤廃というのも思いもつかぬアイデアです。まだまだ鉄道サービスの素地は残っていますね。
おじゃまします。
さきほど「ローカル線ガールズ」のレビューをアップしました。
ぜひ一度現地に訪れたいたいと思いました。
本の写真見てびっくりしたのは、ちゃんと車内に案内用の液晶ディスプレイがあることでした!
岡山の鉄道にもまだ無いです(笑)
モモタロウさん、はじめして管理人です。
車内に案内用の液晶ディスプレイがあったのは気付きませんでした。乗った車両が50才最古参の阪神車両だったのでなかったのかもしれませんね。
えちぜん鉄道は京福時代の車両が激減して、殆どが愛知環状鉄道の比較的新しい中古に変わっていました。
岡山にもありませんか?親会社の両備グループにもお願いして岡山電気に取り付けたらどうでしょう。
私のブログへの訪問、ありがとうございます。
岡山は鉄道の一大拠点でありながら、地域輸送としてのシステムは大都市に大きく遅れており、他の地方と変わりません(泣)
そうそう、地元岡山のブログも立ち上げてます。URLを残しておくので、ぜひ遊びにきてください♪
モモタロウさん、こんにちは。
郷土愛がかんじられる名前ですね。地域情報に特化したサイトは大好きなのでRSSに登録させていただきます。こちらでも紹介させていただきます。
↓
http://blog.goo.ne.jp/okayamacity-2009
ブログの紹介まで、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。